ad

プログラマティックバイイング最前線 CONNECTED TVによるデジタルオムニチャネルの拡大 -後半-

プログラマティックバイイング最前線 CONNECTED TVによるデジタルオムニチャネルの拡大 -後半-

CTVをテーマにした本稿の後半部分として、従来のテレビとの差異を交えたCTVのケイパビリティ・CTVのパブリッシャーサイドについて説明させていただきます。

CTV ケイパビリティ

本稿の前半部分にて、CTVの実施利点について触れてまいりましたが、本章にて実際のCTVのケイパビリティを説明させていただきます。具体的なケイパビリティの中身に入る前に、まず従来のテレビ広告とCTV広告の差異について詳説させていただきます。
言うまでもなく、従来のテレビでは、細かなユーザープロファイリングを意識した広告出稿は難しく、週刊単位x時間帯における、想定されるユーザーの生活パターンを意識した広告出稿となり、最大公約数の一般大衆に向けたメッセージングとなります。一方でCTVの場合、オーディエンスデータを活用し、メッセージを届けたいユーザーにアプローチすることが可能です。(※在庫量の多い米国においてのみ、ある程度のリーチ絞り込み可)またプロモーション中の配信結果の可視化、PDCA運用に転じることができることが、従来のテレビ広告とCTV広告の大きな差別ポイントなのではないでしょうか。

※下図、従来のテレビ広告とCTV広告のケイパビリティ差異についての詳細

ConnectedTV13
前章のCTV市場にて既出となりますが、従来のテレビ市場からCTV市場へユーザーのリーチシフトが見られるものの、依然拡散性において、テレビのリーチ量が大きく、CTVは後塵を拝する形となります。一方で、配信中の出稿量の増減可否、クロスデバイス性、出稿先コントロール、ユーザー分析の深堀など、CTVにおいてのみ実施できる多くのケイパビリティがあることが見て取れます。
次に、CTV広告におけるユーザーへのアプローチ手法について触れてまいります。CTVのオーディエンスターゲティングとして、従来のアドテク領域で活用される、1st Party Dataや3rd Party Dataの実装が可能となり、自社のオウンドメディア来訪ユーザーや過去のエンゲージメントユーザーへのアプローチや勿論のこと、外部の決済情報やライフステージ、デモグラフィック情報を加味したセグメンテーションも実施可能となります。自社データを外部データの中から抽出した類似ユーザーへのアプローチもシステム上可能となるため、従来のデバイスで活用されていたアドテクインフラをそのままCTVに活用できるイメージとなります。また同一IPアドレス配下のデバイスへの再アプローチも可能であることから、ユニークユーザーがSmartphoneで閲覧したコンテンツと親和性の高いコンテンツをCTVで拡張配信することも可能です。家庭内の決裁者にも広く訴求したい、もしくは、家庭全体でサービス検討する商材をお持ちのクライアント様にとって、プロモーションの打ち手が広がるのではないでしょうか。上記の通り、CTVは既存デバイスと同様のオーディエンス配信が可能となりますが、プレイスメント軸でのユーザーアプローチも可能となります。次章で詳説させていただきますが、コンテンツオーナー単位で、商材と親和性の高いコンテンツ面の在庫アクセスが可能となります。

このように、従来のアドテクモデルが通用するCTVは、セグメンテーションされたオーディエンス群の運用コントロールにも長けており、配信期間中のPDCAサイクルを活用したプロモーション効果最大化の実現が可能となります。具体的なコントローラブル項目を幾点か列挙しますと、国単位・地区町村単位での入札を可能とさせる「エリア選定」、ユーザーエクスペリエンスの尊重を考慮した、広告露出回数の設定上限を設ける「フリークエンシーキャッピング」、上述のプレイスメントターゲティング実装の際の入札調整「コンテンツ選定」、また配信時間や日程変更、及びテレビ広告と重複しない時間帯に合わせた配信を可能とする「時間帯配信」などが挙げられます。

※下図、CTVのケイパビリティ一覧図

ConnectedTV14

CTV パブリッシャー

本章にて、CTVの広告インベントリについて触れてまいります。CTVに広告出稿する際、基本的に、契約(Deal ID)締結した上でのプライベートオークション売買となります。Deal IDは「Contents Owners」、「Contents Distributors」、「OTT Devices」、「SSP specialized in CTV」の各層からの買い付けとなり、訴求に即したDeal IDを締結の上、リアルタイムに買い付けを実施していくのがCTV広告の配信フローとなります。

【インベントリへのDeal ID発行元グループ群】
・Contents Owners: 特定種のコンテンツを作成するコンテンツ保有者(ニュース・エンタメ・ドキュメンタリー等)
・Contents Distributors: HuluやNetflix等ストリーミングサービスを提供するグループ群(オリジナルコンテンツを有する企業はContents Ownersとしての顔もある)
・OTT Devices: STBやスティックデバイス(Google Chromecast・Apple TV・Amazon Fire TV Stick)
・SSP specialized in CTV: 様々なCTV在庫に繋がるSSP(SpotX・Tremor Video)
ConnectedTV15

※CTV配信在庫一部例

ConnectedTV16

各広告インベントリへのアクセスは、上図4階層単位でエクスクルーシブに実施されるわけではなく、同一のインベントリに複数の階層からアクセスすることが可能です。前章でも触れさせていただきましたが、市場の伸長に対する在庫へのアクセス量が課題になってきている中、各階層における在庫の受け渡しが問題になっております。

(※下記DIGIDAYより一部抜粋)
昨年、Amazon(OTT Devices)がThe Walt Disney Company(Contents Owners)と対立し、一部のDisneyインベントリをAmazon Fire Stick TVから締め出す可能性があると仄めかし、ストリーミング業界に警鐘を鳴らす事象が発生しました。Amazonを初めとしたOTTDevices側からすると、Contents Ownersの広告インプレッションシェアを欲しており、一方でContents Owners側は、自社の保有するインベントリの受け渡しに二の足を踏む状態でありました。このような状況下、OTT Devices市場においても威力を持つGAFAは非常に多くのユーザーを保有しているということ、他方Contents Ownersはそのようなユーザーの囲い込みを行いたいということから、以前までOTT Devices側に自社の広告在庫を売らせずに済んでいたContents Ownersは、今ではOTT Devices側に対してより妥協が余儀なくされ、インプレッションを無料で開放し、OTT Devicesに自社の在庫を販売できる契約を結ぶに至っております。
このようにCTV市場の急速な発展により、配信インベントリの交渉摩擦が起こり、上述の例はその一部かもしれません。CTV広告がインストリームの動画フォーマットであるということ、また出向先メディアのブランド問題、利害関係事業者が多く介入していることから、アドテク黎明時のRTB取引よりも交渉摩擦が頻繁に生じる可能性があるのではないかと考えております。

さいごに

CTV広告と言うと、既にインフラが整備されている海外市場における新たなテクノロジーと捉えてしまい、国内市場におけるニーズに応えられないイメージをお待ちかもしれません。確かに国内市場においては、民間放送局のコンテンツを集約するVODサービスTVerのプログラマティック配信のみが最たる成功事例かもしれません。しかしTVerに限らず、国内の地上波コンテンツの再放送、もしくはライブ配信が加速することで、国内独自のコンテンツオーナー単位でのDealの締結が整備され、オムニチャネルでの配信が可能になる見込みが高いと予見しております。
本稿にてCTVを題材にお伝えさせていただきましたが、5GやIoTのテクノロジーの進歩により、今後デジタルインフラが更に加速するのは言うまでもないかと思います。それに伴い、ビークル・プラットフォーム・データ、またそれらを利用して最終的に消費者に届けるメッセージングの在り方がより多様化すると予見しております。そのような環境下にて、トレーディングコンサルタントの果たす役割がより一層大きくなるのではないかと実感しております。

弊社はデジタル広告を中心としたインハウス事業に、より力点を置いておりますが、本稿のテーマであるCTVの需要が見込まれるインバウンド与件をお持ちの際は、アウトソースとしてお手伝いさせていただきます。お気軽にご相談いただけますと幸いでございます。

ハートラスの広告運用サービスの詳細はこちらご相談やお問い合わせはお気軽にご連絡ください

この記事のライター

結城 浩史

結城 浩史株式会社ハートラス

トレーディングディヴィジョン プロフェッショナル

米国ニューヨークでの出版企業を経て、2015年に株式会社ハートラス入社。広告運用コンサルタントとして60社以上の運用コンサル業務に従事。2017年より、複数の官公省庁及び独立行政法人のデジタルプロモーション設計と戦略を担当。グローバルのデジタル情報及び、プログラマティックバイイングのエコシステムに熟知。
※2017年全社年間MVP ※運用プラットフォーム数:50PL以上 ※実績国:80カ国以上

おすすめの記事

関連する記事