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プログラマティックバイイング最前線 オン・オフラインを紡ぐDIGITAL OUT OF HOMEの可能性 -後半-

プログラマティックバイイング最前線 オン・オフラインを紡ぐDIGITAL OUT OF HOMEの可能性 -後半-
DOOHをテーマにした本稿の後半部分として、DOOHの持つケイパビリティ、プログラマティックにアクセス可能な、多岐に渡る広告在庫枠について説明させていただければと存じます。

目次

DOOHケイパビリティ

前章までに、DOOHの実施利点とその影響力について触れてまいりましたが、本章では実際のケイパビリティについて、下記4事項に焦点を当てて、説明させていただきます。
・オーディエンスプロファイリング
・オムニチャネルの連携
・広告接触ユーザーの分析
・リアルコンテキスチュアルターゲティングの実装

オーディエンスプロファイリング(匿名性の集積されたモバイルロケーションデータ)

言うまでもなく、従来の予約型OOHでは、細かなユーザープロファイリングを意識した広告出稿は難しく、ユーザーの流動活性時間やペルソナ属性を考慮した出稿先立地状況を鑑みての事前出稿プランニングの策定に留まる一方で、DOOHのプログラマティック購入の場合、プロファイリングデータ(※1)を活用し、メッセージを届けたいユーザーにアプローチすることが可能です。モバイルデータからどのような場所に多く来訪したか、どのようなルートを辿ったか等、外部DMPに保存されます。そのため、プロモーション上のファーストコンタクトからターゲットを意識した外部データを活用した3rd party配信によるユーザーアプローチが可能になります(※2)
※1: オーディエンスプロファイリング(匿名性の集積されたモバイルロケーションデータ)
※出典:Clear Channel Outdoor
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※2: オーディエンスカテゴリ例
※出典:Verizon Media
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オムニチャネルの連携

プログラマティックバイイングの有効性が新たなデバイスに注がれることで、これまでのデジタルプロモーションで実施してきたケイパビリティに新たな付加価値を持たせます。既存のモバイル・タブレット・コンピュータのクロスデバイスプロモーションは言うまでもなく、昨今では、コネクテッドTV含め、情報伝達機器の黎明期から存在するデバイスを含めたプロモーションが可能となり、既存デジタルメディアのみならず、マスメディアやプロモーションメディアへのデジタル拡充により、マーケッター及び代理店のコンサルタントは、コミュニケーションプランニング含め、より多くの事象に注視せざるを得ない時代に差し掛かっているのではないでしょうか。前章で紹介させていただいたDOOHの広告内のQRコード読み取りによる、ジャーニー上の一方通行なデバイス変換に留まらず、ユーザータッチポイントを補完しつつ、相互作用可能な世界観となります。仮に広告キャンペーンを「個人保有の小型デジタルデバイス」、「コネクテッドTV」、「DOOH」と割り振った場合、キャンペーンタイプ毎のアトリビューション分析の実施が可能となり、ジャーニー上、タッチポイント毎の最適なアロケーションが可能になるかと存じます。
※3: オムニチャネルの連携方法
※出典:Clear Channel Outdoor
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DOOH広告接触ユーザーの分析

オンライン行動からオフライン行動への貢献度を計測すべく、ジオグラフィックターゲティングが登場した際に注視された、店内のビーコンを設けた来店計測はDOOH広告露出によるプロモーション貢献度を計測する上でも有効となります。DOOHによる広告露出ユーザーと非露出ユーザーとの間でのブランドリフトの調査(※4)は勿論のこと、DOOH接触・非接触ユーザーの分類に留まらず、自社のCDP内の格納情報に合わせたオンライン行動、アプリ内データ、CRMデータとの照合によるインサイト分析が可能になることも利点となります(※5)
※4: 広告接触・非接触ユーザーの分析
※出典:Clear Channel Outdoor
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※5: 広告接触ユーザーの分析と副次的プロモーション活用
※出典:Clear Channel Outdoor
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リアルコンテスチュアルターゲティングの実装

前述の通り、プログラマティックDOOHは既存デバイスと同様、オーディエンスに軸足を置いたアプローチが可能となりますが、プレイスメント軸でのユーザーアプローチも可能となり、リアル行動に基づいたプレイスメント・コンテキスチュアルターゲティングの実装が可能となる点が大きな魅力ではないでしょうか。DOOHに限り、オーディエンス軸での配信より、インプレッション量を担保する上で、既存概念に沿った、文脈を考慮した在庫購入がより一般的な印象を受けます。次章で詳説させていただきますが、文脈に沿った近接する商業施設単位で、商材と親和性の高いコンテンツ面の在庫アクセスが可能となります(※6)
※6: コンテキストに即した近接する商業施設別出稿例
※出典:Verizon Media
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欧米にて従来式のOOHからプログラマティックDOOHへ徐々にプロモーション予算が傾倒されており、依然プログラマティックDOOH在庫枠は旧式のOOHの後塵を拝する形となりますが、一方で、上述させていただきました実施可能項目以外に、プロモーション期間中のフィージビリティは多岐に渡ります。プロモーション中の配信結果の可視化、PDCA運用に転じることができることが、従来式OOH広告とDOOHのプログラマティック広告の大きな差別ポイントなのではないでしょうか。具体的なコントローラブル項目を幾点か列挙しますと、在庫枠単位での入札を可能とさせる「プレイスメント」、広告露出回数の設定上限を設ける「フリークエンシーキャッピング」、またターゲットユーザーの流動密接時間・過疎時間帯に合わせた配信を可能とする「時間帯設定」などがございます。

DOOH在庫種類

本章にて、DOOHの具体的な広告在庫について触れてまいります。現在プログラマティックDOOH市場が拡大する欧米において買い付け可能なDOOH在庫は増加の一途を辿っており、市中における大規模サイネージを初め、高速道路やバスターミナル、スタジアム近辺に存在する在庫まで多くの在庫にアクセス可能となります(※1)。屋外におけるユーザー行動に目を向けると、移動時間・非移動時間軸に在庫種類を大別できるかと存じます(※2)。移動時間軸として、「歩行時・自動車運転時・電車内/乗り換え時・空港」が主なタッチポイントとなり、一方で非移動時間軸において「ジム・レストラン・バー」における「ながらコンテンツ消費」を促進するDOOH在庫が挙げられます。
マーケティングプロモーションの一環として、イベントに合わせた在庫購入を意識した、食をテーマにレストラン内外の在庫へのアクセス、スポーツをテーマに米四大スポーツのスタジアム付近の在庫にリーチすることも可能となり、また配信状況に合わせた供給量のコントロールが可能となります。
※1: DOOH在庫種類
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※2: 移動時間/非移動時間におけるDOOH在庫
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DOOHの広告在庫種類によって在庫量やリアルタイムで売買される配信単価が異なり、全体の89%を占める在庫は街中の公共スペースにある在庫となります。市街中心部のスペクタクル広告は在庫の予約状況により実施可能ですが、まだまだプログラマティックに買い付け可能な大規模サイネージのDOOHは少ない様子が伺えます。そのため、単にプログラマティックDOOHによるユーザーリーチに依存するのではなく、予算規模に応じて、予約型在庫と併用する形が望ましいと考えられます。
下記在庫別の供給率となります。市中のビューアブルの高い大規模サイネージの配信単価が高い傾向となり、小規模サイネージ、閑散地域の在庫になると配信単価が廉価となります。市場の需給バランスから従来式OOHと同様の単価傾斜となるのではないでしょうか。
・大都市圏の交通量の多いエリア歩行者をターゲットとする、巨大でインパクトがあるフォーマット(タイムズスクエアなど)-プログラマティックDOOH全体の供給量の1%
・視認性を重視し、高さが15メートルを超える場所に設計された大型フォーマット (高速道路や主要鉄道エリアなど)-プログラマティックDOOH全体の供給量の10%
・日常的に利用する公共エリアの歩行者をターゲットとしたフォーマット (バス停や空港、病院など)-プログラマティックDOOH全体の供給量の89%
・常設枠ではなく、イベントやポップアップなどで特定層のターゲットを行うカスタムフォーマット
※3: プログラマティックDOOH在庫別の供給率
※出典:Verizon Media
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多くの欧米諸国において、プログラマティックDOOH在庫へのアクセスは、各種SSPを通じて、DSPからの買い付けとなりますが、プロモーション対象国におけるRTB化の進行が鈍化傾向にある場合、もしくはバーティカルな特定在庫のみを専売する場合は、アドネットワークとして販売されております。言うまでもなく、後者として、クロスデバイスやその他施策との連動性を意識したプロモーションを実施する場合、CDPの導入や、ネットワークと対象CDPへの接続可否が前提となります。一方、世界有数のデジタル大国であり、国産のアドテク企業がひしめく中国は、DOOH市場においても賑わいを見せております。BATH(バース: 中国大手IT企業4社)の各社はデジタルタッチポイントの奪い合いに続き、デジタル化の進行するオフライン広告市場に注視している状態となり、中でもBATHの一角、Baiduは「百度聚屏」として積極的にDOOH市場に取り組んでおります。
※プログラマティックDOOHにおける主要プレイヤー
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さいごに

デジタルインフラの著しい発達により、各人が一人一台(もしくは複数台)保有するデバイスを通じて、パーソナライズ化されたコミュニケーションが、長い間、アドテク業界に深く根を下ろしておりました。本稿のDOOH市場や別稿でご紹介させていただいたコネクテッドTV市場のように、発達したテクノロジーが国内においても、既存メディアに波及する時代に差し掛かっており、アッパーからミドルファネルにおける各チャネルを横断したPDCAの在り方・コミュニケーションの在り方が、今後議題にあがると予想されます。
また昨今、IT業界のパワーワードとなる5GやIoTもDOOHと密接な関係があるのではないかと考えております。大容量の動画クリエイティブにて高品質画面を担保する場合、5Gのテクノロジーが重宝されるのは想像に難くありませんし、またOut Of Home(屋外)を語源とするDOOHは、近い将来、屋内の家庭内機器のIoT化により「家庭内小型サイネージ」に変貌する可能性があるのではないでしょうか。
コロナ禍の情勢により、「Stay Home」が世界中の一般フレーズとなった昨今、屋外に焦点を絞ったDOOHを利用したコミュニケーションはタッチポイントの希薄性により、投資対象として敬遠される傾向にあるかと存じます。しかし、本稿で詳説させていただいたプログラマティックDOOHの利点を最大限活かすのであれば、アナログ的判断で屋外広告予算の完全削減に踏み切るのではなく、ダッシュボード構築による週間単位でのDOOH周辺の流動状況の把握、及び薬局・食料品店などの具体的な立地に合わせた柔軟なバイイングを駆使する等、工夫を凝らすことで、実施する上で考慮の余地があるかもしれません。
弊社はデジタル広告・マーケティングを中心としたインハウス事業に、より力点を置いておりますが、本稿のテーマであるDOOHの需要が見込まれるインバウンド与件をお持ちの際は、アウトソースとしてお手伝いさせていただきます。お気軽にご相談いただけますと幸いでございます。

Appendix

1. 高速道路地点にあるOOH在庫によるオーディエンスリーチは公の交通機関の公表する情報に基づきます。
2. 高速道路地点にあるOOH在庫は、公的な旅行調査に基づいた情報により、ユーザーのデモグラ情報を識別します。
3. 高速道路地点にあるOOH在庫は、道路タイプやディスプレイサイズに応じた、ドライバーの最大認知許容距離を踏まえて広告表示されます。
4. 高速道路地点にあるOOH在庫は、日毎・時間毎の混雑時間を鑑みた平均走行速度(停止時含)と、ドライバーの最大認知許容距離を鑑みた広告表示となります。
5. 高速道路地点にあるOOH在庫は、大抵8~10秒の広告尺の動画広告をローテーションで広告表示します。
6. 街中に位置するOOH在庫にて、1インプレッションによるオーディエンスリーチは在庫規定により変動しますが、「Viewability Zone」に依存します。
7. 街中に位置するOOH在庫にて、オーディエンスインプレッションを定義づける中、ディスプレイの「Viewability Zone」とカメラ探知の「Detection Zone」に大別され、オーディエンスインプレッションを各々の差異を埋め合わせる取り組みがメディアサイドで登場しております。

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※出典:Geopath.org

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※出典:Geopath.org

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※出典:Geopath.org

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※出典: Quividi

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※出典: Quividi

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この記事のライター

結城 浩史

結城 浩史株式会社ハートラス

トレーディングディヴィジョン プロフェッショナル

米国ニューヨークでの出版企業を経て、2015年に株式会社ハートラス入社。広告運用コンサルタントとして60社以上の運用コンサル業務に従事。2017年より、複数の官公省庁及び独立行政法人のデジタルプロモーション設計と戦略を担当。グローバルのデジタル情報及び、プログラマティックバイイングのエコシステムに熟知。
※2017年全社年間MVP ※運用プラットフォーム数:50PL以上 ※実績国:80カ国以上

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